待山遺跡出土遺物【一宮町指定有形文化財】

待山遺跡出土遺物(まちやまいせきしゅつどいぶつ)

令和元年(2019)7月17日指定

一宮町一宮 

 

 

 

待山遺跡は一宮町一宮字待山に所在する遺跡で、待山古墳群を包括する遺跡である。遺跡は一宮川の南岸に形成された微高地に立地している。昭和37年、38年、40年に上智大学によって一部が発掘調査されている。

本出土遺物は平成27年から28年にかけて現どろんこ保育園の建設に伴い、実施された発掘調査の出土遺物である。指定対象は調査報告書に記載された弥生時代から古墳時代の考古資料326点一括である。

出土遺物の中で特筆すべきは「小札(こざね)」である。「小札」は鎧を構成する一部であるが、今回の発掘調査で1枚のみ、絹状のものをまかれた状態で発見された。現在の研究では、これは武器を武器としてではなく、祭祀的な意味合いを持たせて使用した事例ではないかと考えられている。つまり、住居の廃絶に伴い、地鎮的な意味合いを持って置かれたのではないかといわれている。そういった事例では現状では日本最古の可能性がある。

またその他にも、周囲に古墳があったことを示す埴輪片やハソウなど、この遺跡が古墳時代にこの地域の拠点であったことを示す出土遺物が確認されている。

待山遺跡については史跡指定されていないが、この発掘調査の成果は一宮地域のみならず、東上総地域のこの当時の状況をうかがい知ることができる貴重な成果である。

                                                         更新:2019年8月